倉庫跡地の思い出

なみさん
愛知県 1963年生まれ 女性

子供のころ、自宅前の砂利道私道を数十メートル東に進むと、突き当りに毛織物会社の倉庫がポツンと1件だけ建っている広い草地がありました。

倉庫には会社名が描かれていたので、親しい子たちと集合するときの約束は、いつもその会社のネームを切り取り「ボンちゃん」でねというのが通常になりました。

樹木や野草も隅には多く生えており、温かい季節は土筆とりや、たんぽぽとり、シロツメクサとりに夢中になりました。

あるとき、ふと思い立って、ここに私たちだけの「基地」を作ろうと、皆で古い板切れや釘、かなづちを持ち寄り、小さな小屋を建て始めました。

学校が終わると、毎日のように集まり、無い知恵をしぼりながら、木切れをつなぎ合わせ立体にしていくのですが、どうしても上手くいきません。

そのうち、1人1人と脱落者が出始め、ついには皆諦めてしまいました。

完全に見捨てられて残骸になったその「基地」らしきものは上級生の男の子たちに蹴飛ばされていました。

ワクワクしながら作ったときの思い出が今でもよみがえります。

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