「鬼ごっこ」で味わえるもの

Tenさん
福井県の学校の校庭 1968年生まれ 男性

テレパシーで示し合わしたかのように、放課後の校庭で「鬼ごっこ」がはじまります。

鬼決めしたあと、逃げる子たち(以下、逃げ子)は広大な校庭の端々にある遊具をうまく逃げるツールとして使いながら鬼との距離を保とうと必死です。

鬼に追い詰められタッチされた子は鬼になり、おおよそ3人単位で手をつないだまま、次のターゲットを追い込んでいきます。

鬼グループは少しずつ多くなっていきます。

この時逃げている自分は、高所恐怖症のような下半身がゾクゾクするようななんとも言えない恐怖心にかられますが、最後まで逃げ切る雄姿を頭に描きながら奮闘します。

3人が手をつなぎ構成する単位は絶妙な大きさで、両端の2人が別の方向へ追いかけようとするとターゲットを逃してしまいます。

何せ校庭は広く1グループだけで攻めるには限界があり、複数のグループが同じターゲットを攻めないと追い込めません。

時には鬼がのばした手の指の風圧を袖に感じながらすり抜けた達成感は「逃げ子」でなければ感じることができません。

追い詰めている途中よりも、いよいよ最後の「逃げ子」が捕まった瞬間が、この「鬼ごっこ」の全員が共有する満足感であり、もっともヒートアップするところでもあります。

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