「いつもの病院の中庭で」

ピョンチャンさん
神奈川県 1978年生まれ 男性

私たちは学校が終わると、遊ぶ約束もせずにいつもの場所で、いつものメンバーが集まり、何をして遊ぶのかをその場で決めていました。

学校から徒歩で10分くらいの場所にある、国立の病院は、当時は知らなかったのですが、結核病棟があり、多くの入院患者がいたようです。

晴れている日には緑の草が私たちのふくらはぎをくすぐる中庭で、大きな声を出して笑ったり、ふざけ合って走り回ったり、賑やかに遊んでいました。

雨が降るとコンクリートの壁が鳴いているように、暗く濡れていました。

そこに集まるメンバーは各々に遊ぶ道具を持ってきていて、さまざまな遊びをしましたが、一番気に入った遊びはゴムボールの草野球でした。

プラスチックのカラーバットにビニールテープをグルグル巻きにして重くすると、ゴムボールを弾いた時の飛距離が違いました。

そうして大きな声を出して遊んでいた子供たちの歓声は、その病院の入院患者たちにとって、騒がしくも好ましい声だったに違いありません。

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