近所の仲間と缶蹴りの思い出

ももさん
東京都 1968年生まれ 女性

子供の頃、東京の下町で暮らしていました。私には一才年上の兄がいて、いつも兄のお尻を追いかけてばかりいました。

近所には同年代の子供達がたくさんいたのですが、それがどういうわけか全員男の子ばかり。

必然的に私は男の子ばかりの中に一人混ざって遊ぶようになりました。その頃、近所の子供達は皆半ば兄弟みたいな関係でした。

当時流行っていたのは缶蹴りです。必要なのは空き缶一つだけ。

ゲームの始めは、じゃんけんで負けた子供が鬼です。

他の子供達は隠れるのですが、隠れる前にできるだけ遠くに思い切り缶を蹴飛ばします。鬼はその缶を拾いに走り地面に立てたら足で踏むように押さえます。

そして目を閉じ、決められた数を数えてから、隠れた仲間達を探します。

この段階に微妙な駆け引きがあって、鬼は缶を見守りつつ必死に隠れた仲間を探します。

隠れた子供は鬼に見つからないように缶に近づき、蹴飛ばして倒そうと狙います。缶を倒されたら鬼の負けにです。

けれど隠れた子供を見つけ「×××見つけ!」と叫んだ後、缶を飛ばされないように足で押さえれば鬼の勝ちです。

鬼の近くに隠れれば缶を倒しやすいのですが、その代わり見つかりやすいとういう難点があります。

遠くに隠れれば見つかりにくいのですが、缶を倒しに行く前に鬼が缶を押さえてしまうかもしれません。

そこで皆それぞれ自分で作戦を立て、時には二人で組んで、一人を囮に使い、もう一人が缶を倒すなんて事もしました。

懐かしくて温かい思い出です。今思い出してみると、その頃私は多分近所で一番の年下だったのかも知れません。

それか私がたった一人の女の子だったからかもしれませんが、男の子達は私を「おまめ」にしてつかまっても鬼をやらなくて良い特別扱いをしてくれていました。

だから私はつかまってもつかまらなくてもどっちでも良かったわけですが、それでも夢中になって走り、隠れました。楽しくてたまりませんでした。

毎日暗くなるまで遊んだ懐かしい思い出です。

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